グラスによってワインの味が違うのはワイン好きならご承知でしょう。シェリーの場合も同じです。いわゆる「シェリー・グラス」と称される小さなグラスがありますが、それは最近使われていません。シェリー原産地呼称統制委員会が推奨するのは白ワイングラスです。理由は、シェリーはワインなので、香りも十分楽しんでほしいからです。
原産地にはコピータとカタビノという伝統的なグラスがあります。カタビノはテイスティンググラスという意味で、細身のワイングラスと思ってください。コピータは小さめのカタビノです。現在現地のバルでよく使われているのはカタビノです。
では、実際にどのタイプのグラスがシェリーに適しているのか試してみようというイベントが11月9日(水)、東京の「高田馬場アニモ」で開催されました。
用意したのはカタビノ、上が開いたタイプのスパークリングワイン用グラス、INAOテイスティンググラス、大き目のワイングラスです。
使用したシェリーは産膜酵母の下で熟成するマンサニーリャと酸化熟成タイプでアモンティリャードの香りとオロロソのボディを持つパロ・コルタド。サンルーカル・デ・バラメダのバルバディーリョ社製のソレアールとオビスポ・ガスコンです。
結果、口の開いたスパークリング用グラスは不可。INAOテイスティンググラスは可もなく不可もなく。ワイングラスはどちらもOK. 特にマンサニーリャの場合、柔らかな香りと口当たりで、白ワインのような感覚で飲めると好評でした。パロ・コルタドの方は香りが広がり、ゆったりとくつろげる風味とのこと。統制委員会の推奨に沿った結果が出ました。けれども注目してほしいのは、カタビノへの評価が高かったことです。マンサニーリャの特徴であるつんとした香りやシャープさのある風味を味わうには細身のカタビノがぴったり。パロ・コルタドのナッティさや複雑みのある香りや口に入ってくる力強さなどを味わうにはカタビノがいいとのこと。伝統にのっとって生き抜いてきたグラスにはそれなりの理由があったようです。
ワインは嗜好品ですので、各自の好みがあって当然です。このタイプならこれ、この料理に合わせるならこれ、そんな自由な発想でグラスを選んでみてください。