12月末頃、新しいワイン(一般的にはまだモストと呼ばれています)はすでに「デスリオ(澱引き)」されています。つまり発酵によって作られ、沈殿した固形物の堆積物から分離され、1回目の分類に向かう準備が出来ています。
収穫の個別の条件、ブドウの出所、モストを得るときにかけられた圧力、発酵が行われた状態、といった無数の要素によって、ベースワインのそれぞれのロットは官能的にも、各種分析的にも、特性を表します。
テイスターは新しいワインの各ロットからサンプルを採り、ふたつの大きなグループに分けます。
特に色が淡く繊細で、通常圧力をかけないか、もしくは大変軽い圧力で得たモストでできたワインは、発酵容器に斜めの線を1本(/)記し、後にフィノかマンサニーリャとして熟成される方向に向けられます。
骨格がよりしっかりしているワインのロットは、発酵容器に丸印を付け、最初からオロロソに向けられます。
テイスターの決定は、多くの場合、ラボラトリーで分析を行うことによって裏づけされ、かなりの比重で、収穫、モストの採取とその発酵が行われた方法も条件として加味されます。
“テイスティングのエキスパートの判定に代えられるものはありません。その鼻はワインのロット毎にその本質を見抜き、最も相応しい未来を選択します。”
ご存知のように、ヘレスのワイン、シェリーの特徴のひとつは、酒精強化をされたワインであることです。つまり最終アルコール度を少し上げるために、グレープ・アルコールをいくらか添加されたワインということです。
そもそもは何世紀も前に、遠く離れた市場で消費されるワインを安定させる必要に迫られて行われたことです。長い航海を終えるために「防備」しなければならなかったのです。もちろん今日、この伝統的な手法が維持されるにあたっては、かなり異なった醸造上の理由があります。
ベース・ワインは分類されると、「ミタッド・イ・ミタッド(半分半分)」(ワインとアルコール)を加えながら、望むアルコール度に達するまで、段階的にアルコールが強化されます。発酵によって、ベースワインは自然な状態でアルコール度数が11%から12.5%ぐらいの度数に達することを覚えておきましょう。
フィノとマンサニーリャとして分類されたワインは総アルコール度を少なくとも15%に至るまで酒精強化されます。
オロロソとして分類されたワインは総アルコール度17%に至るまで酒精強化されます。
酒精強化はワインが経ていく熟成のタイプを決めるためにワイン生産者が使用する手段です。最終アルコール度数の違いによって、ワインはボタの中で、シェリーのふたつの熟成タイプのうちのひとつになっていきます。
ワインをアルコール度数15%にするということは、フロールを形成する酵母には受け入れられるが、ワイン中にいるその他の微生物にとっては耐えられないアルコール度を得ることです。要するに、ワイン中に維持したい生物学的活動のタイプを選択する、つまりフロールの膜の任を担う酵母によって展開する生物学的活動のタイプを選択しているのです。フロールはワインの表面を被い、ワインの酸化を防ぎ、その成分に一連の変化を与えます。
一方、アルコール度数17%以上では、生物学的な活動は不可能です。高いアルコール度数にも特に抵抗力の強いフロールの酵母でさえ、この状況では生き続けることができません。そのため、ワインはフロールの膜を失い、それとともにフロールによってもたらされていた酸素に対する防御も失われます。
空気と直にに触れると、ワインはゆっくりですが止めることのできない酸化工程に入っていきます。それはワインの色が徐々に濃くなっていくので簡単に見てわかります。
ふたつのタイプの熟成が異なったワインを造り出しますが、それがシェリーの大きな多様性を理解する重要な要素のひとつになっています。
酒精強化が終わると、若いワインは発酵槽を後にし、瓶詰めされるまで唯一の住処となるボタ(樽)で、旅を続ける準備を整えます。
もしそのワインが酸化熟成用であると分類される場合、その未来のオロロソは、かなり初期の段階からはっきりと認められ、フロールの下で熟成されるワインには当てはまりません。
1回目の分類で既にテイスターに対して、そのしっかりした骨格と官能特性を表していたオロロソは、最終的なアルコール度にまで酒精強化されると、熟成システムの一部に入ることができます。しかし、同一年の収穫でオロロソに分類されたワインがアニャダと呼ばれ、ひとつのグループとして貯蔵されていることがよくあり、そこからオロロソのクリアデラに年何回か移し変えが行われます。
アルコール度数15%に酒精強化され、フロールの膜を維持しようとするワインの場合、最初の分類と熟成システムに入るまでの間の期間が絶対に必要です。この工程は「ソブレタブラ」と呼ばれます。
ソブレタブラの時期は大変重要です。最初の何ヶ月かで既にワインはその真の天性を表し始め、熟成の工程に向かっていきます。テイスターが最初の分類をしたとき、ワインはまだ何週間かしか経っていなかったことを忘れないで下さい。6ヶ月から1年ぐらいの期間を経て、テイスターはもう一度ボタをひとつひとつ分析し、2回目の分類をします。その際、単にその仕事がより大変(分類するロットは500リットルのボタであって、5万リットルも入るタンクではありません)なだけでなく、テイスターの前に現れる選択肢には大変幅広いものがあります。
通常、最初の何ヶ月かを経て、フロールが非常に元気で酸化を免れ、ワインが最初に持っていた特性を微妙に変化させてきているボタには、昔から使われてきたパルマの印を付けます。これはワインが身につけていくであろう繊細さの程度を示すものです。こういったものは、最初の淡い色が保持されるか、もしくはさらに淡くなっていくと思われ、既に独特のフロールのシャープな香りを発し始めていて、明らかにフロールの膜のもとで熟成していくワインです。
時に、フロールがあるボタのなかから、このワインは素晴らしい繊細さと、生物学的な熟成をする天性をあきらかに持っているにもかかわらず、酸化熟成によって一新するとカパタスが示唆し、伝統的な「パロ・コルタド」の印を付けるものが出てきます。これは大変特別なワインで、各メーカーの大変特定な基準に基づいて分類され、フロールの膜のもとでソブレタブラの段階を経て、最終的に酸化特性を持つ熟成を始めるためにアルコール度数17%以上に酒精強化されます。
時々、最初の段階で生物学的熟成を続けるワインとして分類されたにもかかわらず、ソブレタブラの期間を経ると、ワインの表面のフロールが望まれていたほど元気な状態でなくなっていることがあります。時には大きな穴が開いていたり、ほとんど消滅してしまっていたりすることがあります。膜に勢いがなくなってしまった場合は、ワインの天性の資質に従うしかなく、オロロソになるように、アルコール度数17%以上に酒精強化します。
最後に、何らかの理由で、シェリーとして望まれるどのタイプの特性も表さないワインが確認されることもあります。揮発酸度が高いとか、(この場合はシェリー・ビネガーのクリアデラの補充に使えます)、その他何らかの理由によって、テイスターは「不適格」と分類します。
2回目の分類の徹底的な選別の工程よって、ワインは最終的に、それぞれの熟成システムのクリアデラに補充される準備が整います。