9月の初め頃、ブドウの葉の色が濃くなり、ブドウの実は柔らかく甘くなり、収穫の時を迎えます。収穫を始める日は明確には決められていません。それは基本的にブドウの実の熟成度によるからです。最低でもボーメ10.5度(潜在アルコール度)でなくてはなりません。
収穫開始日は色々な要素があるなかで決められます。ブドウ栽培者は予期せぬ雨でブドウが腐敗したり、そのためにブドウが落ちることを防ぐために早めに収穫をしたがる傾向にあります。一方ワイン生産者は実の熟成度や酸度、健全さといった、明確な要望を持っています。それと等しく重要なのは、収穫の「物流管理」面です。この自然の動きが、広い目で見た社会経済的構造、監督、収穫人、運搬係、ドライバー、ボデガの人々といった、関連する全てのものを管理する能力を必要としているのです。
“ブドウの緑の茎が黒くなり、ブドウは収穫の時を迎えます。”
ヘレス地域の多くのブドウ畑では毎年の収穫量の増大により、機械摘みに対応できるように、ブドウの樹の高さが増し、列の間が広くなりました。とはいえども、ほとんどのブドウが今でも手摘みがされていて、機械摘みをしているのは現在原産地呼称統制委員会に登録されているブドウ畑のうち15%程度です。
収穫の方法として何が選択されようと、常にブドウが迅速に、できるだけ良い状態で圧搾場に到着しなくてはいけません。そのために、収穫されると、ブドウは18キログラムのプラスチック製のケースで傷まないように積み上げられ、ブドウ畑から圧搾場へ運搬されます。 また最近は、畑のブドウの列の間に入れ、圧搾場まで素早く衛生的にブドウを運搬できる、小さなサイズ(約7,000キロ)のダンプカーが広く使われるようになっています。
基本的なことですが、収穫時期(伝統的に9月初旬)のヘレス地域の高い気温によって、果汁の酸化や予想外の発酵がモストの運搬中に引き起こされる可能性があります。したがって収穫の間は技術と経済の関係の両方が考慮された的確なオペレーションでの運搬業務が遂行される必要があります。
甘口ワイン用のブドウ品種(通常ペドロ・ヒメネス種とモスカテル種)の収穫には特徴があります。
パロミノの場合、ぶどうは切り取られたらできるだけ早く圧搾場に運搬されましすが、この場合の処理は特別で、まずブドウは「ソレオ」(天日干し)と呼ばれる工程にまわされます
ペドロ・ヒメネス種とモスカテル種は、「エスパルト」 (草でできたござ)のに広げられ、太陽のもと広げられます。その目的はブドウの「パシフィケ―ション」(ブドウをレーズンにすること)で、それに含まれる水分を蒸発させることです。そのため、これらのブドウは朝露を避けるために、夜間はカバーがかけられます。この作業の期間は気象条件によって変りますが、1週間以上かかることがあります。